消費者契約法

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    消費者契約法 

    『目的』 
    第1条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が「誤認」し、又は「困惑」した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

    1・総説
     この法律は、「消費者契約」を適用対象としており、「消費者契約」とは、「消費者」と「事業者」間の契約をいう。消費者どうしや事業者同士の契約は対象とされない。しかし、消費者と事業者間の契約である限り、あらゆる業種を対象としている。ただ一つ対象とされないのは「労働契約」(第48条)のみとされている。

    2・消費者契約の概要
     「消費者契約」における「消費者」とは、契約の当事者である個人のことをいい、事業のために契約の当事者となる個人は「事業者」に該当する。この法でいう事業者の概念は、世間一般でいうよりも広い意味で用いられる。「事業」とは、一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続をいうので、法人は、当然のことながら「事業者」に該当する。

     不動産取引きを例にあげると、アパート・貸家経営をしている個人もこの法でいう「事業者」に該当し、又店舗・オフィス用に賃借する個人も「事業者」に該当する。結局、この法の対象となる契約は純粋に、居住用アパートを賃借する個人とアパート経営をする大家さんとの契約ということになる。また、賃借人と大家さんとの仲介にあたる不動産会社でも、テナントの仲介は「事業者」同士の契約にあたり、対象となるのは、居住用の不動産について、媒介・代理の依頼をした個人との契約のみに限られることになる。当然ながら、大家と不動産会社の媒介契約は対象とならない。

    3・契約の取消し
     この法律は、消費者契約の締結過程に係るトラブル解決のため、事業者の不適切な行為等により、消費者が「誤認」あるいは「困惑」という自由な意思決定を妨げられた場合に、それによって締結した契約を取り消すことができると具体的に定めた法律である。

    次のような事実があった場合に契約の申し込みまたは承諾の意思決定を取り消すことができる。

    ?不実告知による取消し(第4条1項1号)
     事業者から事実と異なる内容を告げられたことにより、消費者が、告げられた内容が事実であると誤認をし、それによって契約の申し込みまたは承諾の意思表示をした時。

    例 不動産会社より、築15年の建物に対して「この建物は、築10年です。」と告げられたり、抵当権が設定されている建物を「何も負担することのない建物です。」と不実を告げられた個人がそれを信じ、誤認をしたことによりした申し込みまたは承諾をした契約の取消し。*故意または過失は問わない。

    ?断定的判断の提供による取消し(同条1項2号)
     事業者が、物品、権利、役務その他の契約の目的となるものに関し、将来の価格、将来その消費者が受け取るべき金銭その他将来における変動が不確実な事項につき、断定的判断を提供したことにより、その内容が確実であると誤認して契約の申し込みまたは承諾の意思表示をした時。

    例 「この物件は必ず儲かる」「2〜3年後には、必ず2倍になる」と決めつけて告知されたことにより、それを信じ、誤認をしたことによりした申し込みまたは承諾をした契約の取消し。*故意または過失は問わない。

    ?不利益事実の不告知による取消し(同条2項)
     事業者が、ある重要事項または関連する事項について、消費者の利益だけを告げ不利益を告げなかったことにより、その存在がないものと誤認して契約の申し込みまたは承諾の意思表示をした時。

    例 事業者が、南側隣地に高層マンションが建つことを知りながら、「日当り・眺望良好」と告げて、消費者が「日照・眺望は問題ない」と誤認してマンション購入の申し込みの契約をした場合。隣地に高層マンションが建つという不利益事実を消費者に告げなかったことにより誤認をした契約の取消し。*不利益事実を故意に告げなかったこと、それにより消費者が「誤認」をしたことが必要である。

    ?不退去・監禁による取消し(同条3項)
     事業者が契約の勧誘をする際、不退去・監禁することにより、消費者が「困惑」し、それによって契約の申し込みまたは承諾の意思表示をした時は、その契約を取り消すことができる。(同条3項)

    『不退去』事業者に対し、消費者がその住居または業務を行なっている場所から退去すべき旨の意思表示をしめしているのにもかかわらず、退去しないこと。

    『監禁』事業者が契約の勧誘をしている場所から、消費者が退去する旨の意思表示をしているにもかかわらず、その場所から消費者を退去させないこと。

    ?事業者から委託を受けた仲介業者が行った行為の取消し(第5条)
     事業者が第三者と媒介の委託契約を締結し、その第三者が消費者に対し本法の取消し事由となる行為を行った場合、消費者はその行為を取り消しことができる。

    4・取消権の行使期間 
    取消権の行使は、追認することができる時から6ヶ月以内に行わなければならない。
    「追認することができる時」とは、事業者の行為により「誤認」したことを消費者が気づいた時、「困惑」状態から消費者が脱した時をいう。*この取消しは、第三者に対抗することができない。また、契約締結の時から5年を経過したときは取消すことができない。

    5・不当条項の無効 
    消費者の利益を保護するため、一定の不当条項を無効としている。
    ?事業者の損害賠償の責任免除に関する条項。
    ?消費者が支払う損害賠償に関する条項。
    ?消費者の利益を一方的に害する条項で信義則に反する条項。

    *??に該当する条項は当事者間で「法律の定めいかんにかかわらず有効とする。」旨の合意をしたとしても無効となる。合意による変更、排除ができない「強行規定」。

    (1)事業者の損害賠償の責任免除に関する条項の無効(第8条)

    ?全部免除の特約
     民法では、契約自由の原則を基本としているが消費者契約法第8条第1項の第1号と第三号では、次のように定められている。

    (事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
    第八条第1項 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
    一・事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
    三・消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項

    この規定により、事業者が負う債務不履行や不法行為をした場合の損害賠償責任の全部を免除する契約は無効とされ、無効となった場合に消費者は民法の原則に従って、当該事業者に対して損害賠償請求が可能となる。

    ?一部免除の特約 
    契約による一部免除についても消費者契約法第8条第1項の第二号と第四号では、次のように定められている。
     
    (事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
    第八条第1項 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
    二・事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
    四・消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項

    この規定により、事業者が負う債務不履行や不法行為をした場合の損害賠償責任の一部を免除する契約は、事業者側の故意又は重過失(知ってした行為又は著しい注意義務違反)があった場合には無効とされる。たとえ一部でも事業者の損害賠償責任を軽減する特約は認めるべきではないという考えである。

    ?瑕疵担保責任を負わない旨の特約 
    契約が有償契約(売買、請負等)の場合の事業者が負う瑕疵担保責任についても消費者契約法第8条第1項第五号と第8条第2項では、次のように定められている。

    (事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
    第八条第1項 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
    五・消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項
    2 前項第五号に掲げる条項については、次に掲げる場合に該当するときは、同項の規定は、適用しない。
    一・当該消費者契約において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
    二・当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該他の事業者が、当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い、又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

    この規定により、有償契約の場合の事業者が負う瑕疵担保に基づく損害賠償責任の全部を免除する契約は無効とされる。例外として第8条第2項では、代替物の提供又は修補責任を負うといった一定の場合は有効とされる。

    (2)消費者が支払う損害賠償の予定等に関する条項の無効(第9条)

    ?損害賠償の額の予定する条項(同条第1号)
     消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える場合、その超える部分は無効とされる。

    ?遅延損害金の条項(同条第2号)
     消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日までに支払わない場合の遅延損害金について年14.6%を超える場合は、その超える部分が無効とされる。

    (3)消費者の利益を一方的に害する条項の無効(第10条)

    (消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
    第十条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

    6・消費者契約法と他の法律との関係(第11条)

    (他の法律の適用)
    第十一条 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力については、この法律の規定によるほか、民法及び商法の規定による。
    2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

    例えば、損害賠償額の予定(違約金)についていえば、消費者契約と不動産の売買契約とが競合した場合、消費者契約法第9条第1項と宅建業法第38条の優先的適用は宅建業法となり、宅建業法の損害賠償額の予定(違約金)については、その合算額が「代金の20%」を超えてはならないとされ、その超えた額は無効とされる。言い換えれば「代金の20%」までは有効とされ、その限りにおいては消費者契約法第9条第1号の適用はないことになる。

    7・消費者団体による差止請求権(第12条)
     消費者団体のうち、内閣総理大臣の認定を受けたもの(これを「適格消費者団体」という)が、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(以下「事業者等」という)に対して、一定の要件の下で「差止請求」ができる。

     一人の消費者より、一定の消費者団体が事業者等に対して立ち向かう方が消費者保護の実効性があり、被害の発生や拡大を未然に防止できるであろうという考えの下に創設された。次の場合に「差止請求」ができる。

    ?事業者等が、消費者契約の締結について勧誘をする際、不特定多数の消費者に対して一定の「不当勧誘行為」を行い、又は行うおそれがあるとき。

    ?事業者等が、消費者契約の締結について勧誘をする際、不特定多数の消費者との間で、一定の「不当条項を含む消費者契約」の申込み、又はその承諾の意思表示を現に行い、又は行う恐れがあるとき。

    事業者等に対し、その行為の停止もしくは予防又はその行為に供した物の廃棄もしくは除去その他のその行為の停止、もしくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。






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